
今回お話を聞くのは、伊勢丹新宿店のラグジュアリーブランドでアパレル販売の派遣スタッフとして活躍中のNさん(仮名・40代)。三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズを通じて百貨店の現場に立ち、テーラードの目利きと丁寧なご案内で信頼を重ねています。“百貨店で働くやりがい”をQ&A形式にまとめました。
A. いちばんの理由は、販売の経験をもう一段上げたかったことと、そして、好きなブランドのよさをまっすぐに伝えたかったからです。40代になって、これまでの接客で培ったことをラグジュアリーの現場で磨き直してみたい、そう思うようになりました。このブランドは素材や縫製、シルエットに一貫した考えがあって、袖を通すと背筋がすっと伸びるんです。その感覚を実際に体験していただきながら、分かりやすい言葉で魅力をお伝えしたい。百貨店の売場なら、お客さまと落ち着いて対話ができて、「なぜ似合うのか」まで一緒に確かめられます。実践を通して経験値を重ねられるのも自分に合っていると感じました。
A. フィッティングルームから出てこられたときに、表情がふっと明るくなる瞬間です。ラグジュアリーの服は、肩線の収まり、胸まわりの分量、ウエスト位置、袖山の立ち方など、細部の「合い方」で美しさが決まります。まずは用途(ビジネス、レセプション、式典など)と、お好きなシルエットを一緒に整理します。必要があれば、丈詰めや袖の調整もその場でご案内します。たとえばカシミヤのコートなら“落ち感”、シルクのブラウスなら“透け感と光沢”、ツイードのジャケットなら“立体感”を、鏡の前で一つずつ言葉にして共有します。「これだと思えました」と肩の力が抜ける表情に出会えると、服の力と接客の意味を強く感じます。後日、同じラインの新作を見に戻ってくださったり、大切な場面のご相談を任せていただけると、つながりが生まれているとうれしくなります。
A. 「比較して納得いただける」ことだと思います。同じブランドの中でも素材違いやパターン違いがあって、百貨店なら靴・バッグ・アクセサリーと合わせた“全身の提案”もしやすいんです。外商やお直しカウンター、ギフト、免税カウンターなど、周りのプロと連携できるのも心強いところ。当日中に、着心地からアフターケア、贈り物の体裁まで、必要なことを一気に整えられるのは百貨店ならではの強みです。所作や言葉遣いの基準がはっきりしていて、上質な体験を求めて来店される方に安心して選んでいただける場で働けることは、誇らしく感じます。
A. 「次に迷わない状態」を残すことを意識しています。たとえばご購入品の着回しをシーンごとに簡単にお伝えして、サイズの所感も具体的に共有します。また、素材違いや色違いの入荷予定、同系統の新作の情報も、さりげなくお話しして次の会話の糸口に。無理に売り込むより、「似合う理由」と「使える場面」を一緒に言葉にしていく姿勢が、結果的に指名やリピートにつながっていると感じます。
A. テーラリングの見立てや素材の見極め、アフターケアのご提案が、ぐっと実践的になりました。肩幅・胸囲・袖丈・背中の可動域を見たうえでのサイズ選定、丈直しの目安と仕上がりの見え方、カシミヤの毛並みケア、シルクの取り扱い、レザーの保湿や保管など、「長く気持ちよく着る」ためのコツを、わかりやすい言葉でお伝えできるようになったと思います。
A. 最後の決め手はやっぱり「着心地」と「安心感」です。画像やSNSのレビューだけではわかりにくい、生地の落ち感や縫い代の当たり、座ったときの丈、歩いたときの裾の揺れを、一緒に鏡で確かめて言葉にしていきます。ブランドの世界観やものづくりの背景を、日常の言葉に置き換えて、目の前の体型やTPOに合わせてご提案する――この翻訳のような作業は、人だからこそできること。候補を2〜3点にしぼって、迷いの理由を一つずつ解消していく時間そのものが、価値だと感じています。
A. 新作の立ち上がりやホリデーシーズンは、フィッティングが続いて忙しくなります。チームで役割を分けて、在庫のリアルタイム検索やキャッシュレス決済を活用し、「探す・会計」の時間をぎゅっと短縮。そのぶん、着心地の微調整や着回しのご提案に集中できます。閉店後に「今日もベストな一着に出会っていただけた」と振り返る瞬間は、やり切った実感でいっぱいになります。
A. サイズ表記の橋渡しと、試着を軸にしたコミュニケーションがポイントです。多言語のご案内や翻訳アプリを補助に、身長や肩幅、丈の好みを簡単なフレーズで確認。鏡の前でフィット感を共有すれば、言葉が完璧でなくても十分に通じ合えます。免税カウンターへの導線も整っていて、スムーズにご案内できるのが百貨店の良さです。
A. まずはサイズの見立てとテーラリングの精度をもっと上げたいです。レザーやシューズ、アクセサリーまで含めた全身提案を強化して、「迷わず買い足せるワードローブづくり」を一緒に考えられる存在になれたら理想的です。次のステップとして、VMDのお手伝いやフィッティングアテンド、チームの育成にも関わりながら、ブランドの世界観を売場全体でお客さまに伝えていきたいと思っています。百貨店という舞台で、聞く・整理する・伝えるという軸を大切に、長く信頼される接客のプロを目指します。
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